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アートキャラバン日程・運営団体


助成:文化庁文化芸術振興費補助金
(統括団体による文化芸術需要回復・地域活性化事業(アートキャラバン2))
独立行政法人日本芸術文化振興会


全国公演

『炎の人』


《あらすじ》

 ベルギーの貧しい炭鉱町で、福音伝道者として坑夫たちと生活を共にしていたヴィンセント・ヴァン・ゴッホだったが、坑夫たちのストライキに加担したとして伝道協会の派遣牧師から職を解かれてしまう。職を失い画家になる決心を固めたゴッホは、オランダの主都ハーグに移り、モデル女で娼婦のシィヌと出会い同棲を始めたが、絵の師でもあるモーヴはその結婚に反対し絶縁を宣告。シィヌにも去られてしまったゴッホを慰めるのは唯一の理解者であった弟のテオだけだった。
 画商に勤めるテオの口添えでパリに移り住んだゴッホは、印象派の若き画家たち、ロートレック、ベルナール、シニャックらとタンギイの店で交際を深め、中でもゴーガンに深い尊敬と憧れを抱いた。これまでにない新たな色彩と光の表現に、絵の難しさを知り苦悩するゴッホは疲労と神経の浪費を重ね、都会を離れて南フランスのアルルに一人移る。大自然の中、とりつかれた様に作品を次々と生み出してゆくゴッホは、待ち望んだゴーガンとの共同生活を始める。しかし、心では尊敬し合いながらも衝突する二人。
 ある日、ゴッホは、愛する酒場女のラシェルがゴーガンの膝の上にいるのを目撃する。恋人、絵、酒、文明、神、道徳、そして……錯乱。論争と反目を繰り返してきた友ゴーガンは静かに部屋を出て行ってしまう。ゴッホは自省と狂気の中で、己れの耳にカミソリをあてるのだった……。


《公演にあたって》


 文化座の『炎の人』の初演は1958年。劇団の創立者であった佐佐木隆の演出でした。作者の三好十郎と親交の深かった佐佐木隆は、生前はまったく無名であった若き芸術家の無垢な“生”と、彼を支え、人生の伴走者となった人々を丁寧に描き出して、劇団はその年の文部省芸術祭団体奨励賞を受賞し、その後、二度にわたり全国公演を果たしています。
 以来、『炎の人』は文化座80年の歴史に残るエポックともいえる作品のひとつになっています。
 私たちはこの思いを演出家の鵜山仁氏に伝え、55年振りに再演することに成功しました。
 いま再び蘇った、文化座の『炎の人』です。皆さま、どうぞご期待下さいませ。

佐々木 愛